犬の症例

超小型犬(1.2kg)の橈尺骨骨折を手術で治療した症例

体重1.2kgのトイプードルの前足の骨折(橈尺骨骨折)に対して、手術を行いました。

これがまた難しめの手術でしたのでご紹介させて頂きます。

 

■ なぜ難しい症例だったのか

今回の症例で一番のポイントは1.2kgという超小型犬の「骨の小ささ」です。

 

骨の厚みが約2〜3mm!!
遠位(手首側)の骨片が約5〜6mm

 

 

 

このサイズ感になると、スクリューを入れるスペース自体がほとんどありません。

さらに、超小型犬の橈尺骨は血流が乏しく、もともと癒合不全のリスクが高い部位でもあります。

 

■ 治療方針

外固定だけでは安定性が不十分なため、プレートを用いた内固定を選択しました。

ただし問題は、「この小さな骨片にどう固定するか」という点です。

 

■ 手術で意識したポイント

今回の手術では、特殊な小径プレート(海外製のプレートシステム)の選択、限られた遠位骨片へのスクリュー配置、回旋・軸のズレを抑えた整復を特に意識しました。

遠位骨片が非常に小さいため、スクリューの位置や角度がそのまま固定強度に直結する状況です。

また、スクリュー孔を作る際には骨にドリルで穴を開けますが、今回のように骨が非常に小さい場合、何度も drilling を行うと骨の強度が低下し、スクリューの保持力が落ちてしまう可能性があります。

そのため、基本的にはやり直しが効かず、1回で正確な位置に孔を作る必要がある点がこの手術の難しいところでした。

 

術後は翌日には患肢を負重するようになり退院しました。2~3か月程度で骨癒合が認められるため、それまでの期間はケージレスト、安静が必要になります。

たいへんよく頑張ってくれました!

 

■ まとめ

超小型犬の橈尺骨骨折は、骨が細い、固定スペースが少ない、癒合不全のリスク、があるといった理由で難易度が高い骨折です。

今回のように遠位骨片が数mmしかないケースでも、適切な固定方法を選択することで良好な結果が得られることが期待できます。

 

■ 最後に

「小さいから手術は難しいのでは?」とご相談を受けることも多いですが、症例ごとに方法を検討することで対応可能なケースが多いです。

同様の症例でお困りの際は、お気軽にご相談ください。