ハムスターの腫瘍外科について

ハムスターの腫瘍

ここのところハムスターちゃんが遠方からたくさん来院されています。ハムスターは寿命が2年程度であり、1歳過ぎになり高齢になると腫瘍がとても発生しやすい動物です。

飼主さまが腫瘍が出来ているのに気付かれて連れて来られて摘出手術を行うことが当院では良くあります。

「ハムスターの皮膚生検における腫瘍発生率(日獣会誌2003)」によると、出来物ができたハムスター257頭のうち90%が腫瘍で残りの10%が非腫瘍(臭腺、膿瘍、ヘルニア、肉芽腫、乳頭腫など)だったという報告があります。これをみても腫瘍がとても多いことが分かりますが、腫瘍と非腫瘍をきちんと区別してから手術をすることが大切です。

ハムスターの腫瘍の種類について

ジャンガリアンハムスターには体表腫瘍が多く認められます。:乳腺腫瘍(最も多い)、非定型線維腫、乳頭腫、扁平上皮癌、臭腺癌、粘液肉腫、アポクリン腺癌、骨肉腫、黒色腫、肥満細胞腫などがあります。ゴールデンハムスターは体表腫瘍の発生は少なく、形質細胞腫やリンパ腫などの造血器系腫瘍が多いとされています。腫瘍以外のしこりでは、膿瘍、ヘルニア、臭腺、肉芽腫、皮膚乳頭腫症などがあります。

ハムスター腫瘍の治療法

外科的摘出

リンパ腫以外のほとんどの腫瘍は、外科的摘出手術が第一選択になります。顔の辺りや、お尻の辺り、尿道の辺りなど、腫瘍ができた部位によっては、摘出できない場合もあります。

温熱治療、放射線治療

摘出することが難しい腫瘍の場合は、温熱療法や、放射線治療を行うことも考えられますが、実施できる施設がほぼ無いこともありあまり一般的ではありません。

化学療法

リンパ腫では化学療法(抗がん剤:ステロイド、Lアスパラギナーゼ等の投与)を行うこともできますが治療法は確立されていません。

ハムスターの皮膚腫瘍の実際の症例

先日東灘区から連れてきていただいたジャンガリアンハムスターちゃん(2歳雌)にはとても大きな腫瘍ができていました。

飼主さまからお話をお伺いしたところ、数か月以上前からパチンコ玉程度の大きさの腫瘍がありお近くの動物病院を受診されたところ手術はしない方がいいといわれたそうです。そして、様子をみていると最近になって急に大きくなってきたそうです。当院へ来院された時点で本人(ハムちゃん)が痩せていることもあり、腫瘍の大きさは本人と同じぐらいのサイズになっていました

。実際、身体の半分もある大きさの腫瘍を摘出する事はかなりのリスクを伴うため、手術はせずに様子見を選ばれるケースがほとんどだと思います。

しかし、飼主さまとのご相談の結果、

・このまま放置すると腫瘍が破裂(腫瘍部の皮膚が変色・壊死、内部に液体貯留あり)→そのうち死亡する可能性が高い

・麻酔に耐えられれば、摘出できる可能性がある

ことから手術の可能性に賭けてみることになりました。

身体は痩せており、腹部に出来た腫瘍が巨大なサイズになってきています。両前肢が腫瘍にめり込んでいましたが、半導体レーザー装置を用いて血管や組織を分離し問題なく摘出することができました。このレーザーメスを使うとほぼ1滴も出血させることなく手術ができハムスターの手術には絶大な威力を発揮します。

摘出後、麻酔からも無事覚めてくれました。

腫瘍摘出後

手術後3日目の様子。元気や食欲もあり回し車をまわしています。

良かったね。獣医師としてもホッとする瞬間です。

ハムスターの手術や麻酔は特殊ですので、どの動物病院でも手術をしているわけではないと思いますが、経験のある慣れた獣医師であれば麻酔を掛けたり腫瘍の摘出手術を行うことは十分可能です。

しかし、安価な動物(500~1000円程度)であり、進行が早く、身体が小さく、短命であり、リスクがゼロではないため獣医師としても積極的に手術を勧めにくく、飼主さま側にも価値観の相異が大きく、発見が遅れることもあり、ハムスター自身より手術代が高額になるため、悩んで迷っている間に腫瘍が大きくなり手遅れになってしまうケースがけっこう多いのではないでしょうか。様子をみていていつか手術をしようかな、と考えておられる方はどうするか早めに考えていただくのが良いと思います。

さいごに

この腫瘍を手術で摘出しようか…、様子を見ようか…、とお悩みの方は、「部位的やサイズ的に摘出が可能な腫瘍なのか?」「体力的に大丈夫なのか?」などうすれば良いかなどアドバイスもできますので、一度ご相談に来院してみてください。

治療実績の一部をご紹介

1、胸部の皮膚腫瘍

2、腹部の皮膚腫瘍

3、胸部の皮膚腫瘍

4、前肢の皮膚腫瘍

5、腹部の皮膚腫瘍

6、脇腹の皮膚腫瘍

7、胸部の皮膚腫瘍

8、肝臓の嚢胞

9、足の皮膚腫瘍

10、前肢の腫瘍(前肢の断脚手術)

11、腰部の皮膚腫瘍

12、胸部の皮膚腫瘍

13、下顎部の腫瘤

14、腹部の皮膚腫瘍

15、背中の皮膚腫瘍

16、前肢付け根の腫瘍

17、頸部の皮膚腫瘍

18、胸部の皮膚腫瘍

19、腹部の皮膚腫瘍

20、頸部の皮膚腫瘍

21、頸部の皮膚腫瘍

22、耳の腫瘍

23、足の腫瘍

24、腹部の皮膚腫瘍

25、腹部の皮膚腫瘍

26、耳周辺の腫瘍

27、腹部の皮膚腫瘍

28、腹部の皮膚腫瘍

29、頬袋周りの膿瘍

30、前肢の腫瘍(前肢の断脚術)

31、子宮疾患

32、腹部の皮膚腫瘍

33、腹部の皮膚腫瘍

34、口にできた腫瘍

35、マウスの腹部皮膚腫瘍

36、耳と腹部の皮膚腫瘍

37、頸部の皮膚腫瘍

38、腹部の皮膚腫瘍

39、胸部の皮膚腫瘍

40、腹部の皮膚腫瘍

41、腹部の皮膚腫瘍

42、胸部の皮膚腫瘍

43、胸部の皮膚腫瘍

44、子宮疾患

45、耳の腫瘍

46、しっぽの腫瘍

47、顔の腫瘍

48、腸重積

49、前足の腫瘍

50、お尻周りの腫瘤(膿瘍)

51、右肘の腫瘤

52、子宮卵巣疾患

53、前足の腫瘍、断脚手術

54、下腹部の腫瘤

55、胸部の腫瘍

 

etc…