気管ステントについて

「気管虚脱」という病気は日々診察しているとよくみかける病気です。

気管軟骨が脆弱化することで気管が潰れてしまう病気です。

原因は不明で、小型犬(ポメラニアン、ヨークシャテリア、トイプードルなど)の中高齢犬に多く見られ、遺伝的な体質が関係しているのではないか、言われています。

中高齢のワンちゃんで咳がみられる子はこの気管虚脱に罹患しているかもしれません(中高齢の小型犬は心臓病も多いです)。

症状は、激しく吠えたり、運動や興奮した後に「ガーガー」というのど鳴りが聞こえるようになります。

さらに進行してひどくなると、呼吸困難になり舌の色がチアノーゼを起こし青紫色になり失神して倒れてしまったりするようになります。

こちらのポメラニアンのワンちゃんの場合、息をするのもままならない状態で来院されました。

↑息が苦しそうでかわいそうです汗

↑レントゲン検査をしてみると…、

気管(空気の通り道)が潰れてしまい閉塞しています。これでは息を吸って吐くことが出来ず苦しいはずです。

 

とりあえずの治療として、

酸素を吸わせるためICUに入ってもらい、抗炎症薬の投与、抗生剤の投与などを行うと何とか状態が落ち着きました。

しかし、このままの状態では一時的に改善したとしてもすぐに症状が再発するのは目に見えています。

飼主さんとどうするかよくご相談させて頂いた結果、

気管ステントを設置することで気管を拡張させることになりました。

 

まず、ステントのサイズを測定します。

↑気管の大きさ(直径、長さ)を麻酔下で測定し、ちょうどいいサイズのステントを選択します。

 

↑閉塞していた気管に気管ステント(INFINITI MEDICAL社製)を入れます。ステントが広がり気管が拡張されています。

 

↑ステント設置前に比べて、だいぶ呼吸が楽そうになりました。

 

ステント治療を行うことで、

この子のような苦しさを緩和できなかった症例にでも、症状を楽にさせてあげることができるようになりました。

ただし、気管虚脱は慢性進行性の病気であり、ステントを入れたとしても完治した訳ではないため(緩和的治療)、内科療法の継続が必要です。