犬の症例

犬猫の股関節全置換術の海外セミナーに参加してきました

11月に1週間お休みを頂きまして、海外で開催された 犬の人工股関節置換術(THR:Total Hip Replacement) の専門セミナーに参加してきました。
当院では整形外科診療に力を入れており、より安全で質の高い治療を提供できるよう、日々研修を重ねています。今回のセミナーもその一環として参加しました。

 

人工股関節(THR)とは?

犬の股関節疾患に対して人工の関節を入れ、痛みを取り除き、歩行機能を大きく改善する高度医療です。
特に以下のような病気で有効な治療選択肢となります。

レッグペルテス病

重度の股関節形成不全

大腿骨頭壊死

FHO(大腿骨頭切除術)後の機能不良

ただし非常に高度な技術が必要で、適応を慎重に見極める必要があります。

 

セミナー内容と学んだこと

今回のセミナーでは、人工股関節手術に必要な知識から、実際の器具の操作方法まで、幅広く学ぶことができました。

● 座学(Lecture)

犬の股関節の詳細な解剖

人工股関節の構造と原理

手術適応の判断基準

術前計画(テンプレーティング)の重要性

カップ(ソケット)やステムを入れる角度・固定の基準

 

パソコン上で骨の大きさとインプラントのサイズをシュミレーションして術前の準備をします(これは寛骨臼カップ)

 

大腿骨ステムのサイズをシュミレーションしています

 

 

● 実習(Hands-on)

実際の骨模型を使用した人工股関節の設置トレーニング

リーミング(臼蓋の形成)の手技

ステムを真っ直ぐ挿入するコツ

小型犬で特に注意すべき解剖学的ポイント

術中の合併症を回避するための実践的な技術

 

 

 

関節疾患で苦しむワンちゃんは多く、

膝蓋骨脱臼(パテラ)

前十字靱帯断裂(TPLO)

股関節疾患

骨折

など、治療選択が広がれば救える症例が増えます。

特に股関節疾患では、FHO(大腿骨頭骨頸切除術)だけでは十分な機能回復が難しい症例もあるため、人工股関節は今後の重要な選択肢となりえます。

 

今後の取り組みについて

今回のセミナーはとても有意義で、人工股関節手術の奥深さと可能性を強く感じました。
当院では今後も、整形外科の知識・技術の研鑽を続け、より良い治療ができるように努力していきたいと思います。

 

 

【おまけ:現地でのご飯や出来事】

セミナー期間中は現地のご飯をご馳走になりました。日本では食べたことのない味で美味しかったです。

街並みも日本とは違っていて、見ているだけで興味が尽きませんでした。

↑現地の日本食レストラン(日本風?)

 

↑ザリガニ料理

 

 

 

垂水オアシス動物病院

井尻