カメの症例

カメの手術(卵詰まり)

お尻から何か赤いものが出ているという主訴でカメさんが来院されました。当院ではカメの診察を行っているためよくカメさんが来院されています。

さっそく診察させて頂くと、総排泄孔から卵管と思われるものが出てきていました。女の子のカメさんは卵管が出てきてしまうケースが時々あり、卵管脱では卵管や卵管間膜の血管を損傷して体腔内に出血している可能性が高いため、早めに卵巣卵管摘出術を実施した方が良いとされています。

今回のケースでも出血して元気や食欲が無くなってきており、CT検査を実施したところ卵胞が多く見つかりました。そのため、全身麻酔下にて開腹手術(腹甲骨切り術)を行い、卵胞と卵管を摘出することになりました。

手術前の様子。甲羅をキレイに洗って、消毒します。

注射麻酔薬で眠って貰ってから、気管挿管をして人工呼吸で麻酔を維持します。気管に入ったチューブを嚙みちぎらないように綿棒を噛んで貰っています。

お尻から卵管が出てきて出血していました。甲羅の状態もあまり良くありません。

甲羅にマジックペンでマーキングをした後、消毒してドレープを掛け、甲羅を電動ノコギリなどでカットしていきます。

甲羅が開きました

甲羅をめくるとお腹の中が見えてきます

左右の卵胞と卵管を摘出します。体外に出てしまっていた卵管が短くなっているためお腹の中から探しても中々見つからず大変でしたが、無事に発見し摘出できました。

腹膜を縫合しお腹を閉じます。

甲羅を戻します

パテで甲羅を接着しました

摘出された卵管と卵巣

包帯をお腹に巻いています。

 

水棲ガメの場合は、手術後には4~6日程度、陸場で生活してもらい、手術部位の排液が無くなってから水に戻すことができます。

カメさんよく頑張ってくれました!