猫の症例

高齢猫ちゃんの大腿骨骨折

先日、須磨区にお住まいの高齢猫ちゃんが骨折してしまったということで来院されました。

掛かりつけの動物病院様では骨折を治す手術は行われておられなかったため、骨折治療を多く行っている当院を探されて来院して頂いたとのことでした。

飼い主さまからお話をお伺いすると、なんと御年18歳。人間換算だと100歳に近い御歳です。

不運な事に、事故に巻き込まれてしまい太ももの骨を折ってしまったようです。

 

早速、レントゲン検査をさせて頂くと、右後ろ足の大腿骨という太ももの部位の骨が粉砕して骨折していました。

↑大腿骨が粉砕骨折しています

 

↑右後ろ足の大腿骨が粉砕骨折しています

 

このような場合の対処法としては、

 

1、骨折を外科的に固定して治療する

 

2、安静にすることで無治療で骨癒合を待つ

 

の2つが考えられます。

 

高齢猫ちゃんの場合、骨折以外の持病(腎臓病、心臓病など)を持っていることが多く、手術をせずに経過観察する方が安全な場合もありますのでどうするべきか悩むところです。

 

飼い主さまとご相談の結果、18歳と高齢なもののこのまま無治療で経過を見るのは痛そうですし可哀想で忍びない、ということで思い切って骨折の整復手術を実施することになりました。

 

皮膚を切開し骨の部位までアプローチすると…、

大腿骨が5個の部位に割れて折れてしまっていました。

↑*注)手術の画像です

 

高齢の猫ちゃんの骨はガラスや陶器のような感じで、スクリューを骨にねじ込む力を間違えると「ピシッ」とか「パキッ」と音を立てて骨が粉々に割れてしまい、さらに骨の固定が難しくなってしまいます。

また、レントゲンに写っていない骨の亀裂などがある場合もあり整復固定の難易度は高いです。

 

このような粉砕骨折を創外固定や髄内ピン法とワイヤーを使った方法で安全に確実に治療するのは難しいと判断し、今回もプレート法を使って整復固定を実施しました。

 

 

↑手術後の様子。ラグスクリュー4本で骨片を集めて1本の大腿骨にした後に、ロッキングプレートを外側面に、通常のプレートを前面に設置しました。

 

 

↑手術後の様子

 

手術後には足をすぐに着いて歩けるようになってきたので良かったです。

高齢猫ちゃんなので完全な骨癒合までに時間が長く掛かりますが3~4か月程度で骨癒合が期待できます。

 

垂水オアシス動物病院

獣医師 井尻