犬の症例

猫の橈尺骨骨折の再手術実施例|オルソゴナルプレーティングと海綿骨移植による整復固定

以前に橈尺骨骨折を創外固定法で治療して頂いたものの、不運なことに術後の経過が芳しくなく、骨癒合が十分得られなかった猫ちゃんを、掛かりつけの動物病院の先生からご紹介頂きまして、当院にて再手術(revision surgery)を実施しました。

骨折部は前腕(橈尺骨骨幹部)の斜横骨折で、慢性的な経過をたどっていた症例です。

感染や不安定性が認められたため、まず創外固定装置を除去し、感染管理と軟部組織の改善を行った後、再建術を実施しました。

↑創外固定ピンを抜去して、2週間抗生剤を投与し感染をコントロールした後、プレートを用いて整復固定を行いました。

 

骨折部の処置

再手術では、まず骨折部を丁寧に展開し、骨の治癒を妨げている線維性組織や軟部組織を除去しました。

さらに、

骨髄孔への穿孔(0.8mm Kワイヤー)
ラウンドバーによる骨端のデブリードメント

を行い、骨の治癒反応を促進しやすい状態へ整えました。

慢性化した骨折では、単にプレートを付け直すだけでは十分な骨癒合が得られないこともあり、骨折部の生物学的環境を改善することが重要になります。

 

オルソゴナルプレーティング(ダブルプレート法)

整復固定には、KYON社ALPSチタンプレートを使用し、2枚のプレートを異なる角度で配置する「オルソゴナルプレーティング(ダブルプレート法)」を実施しました。

この方法は、単一プレートよりも回旋や曲げに対する安定性を高めることができ、特に再手術症例や不安定性のある骨折で有効な方法です。

海綿骨移植も併用

また、骨癒合を促進する目的で、上腕骨近位部より採取した自家海綿骨を骨折部へ移植しています。

自家海綿骨移植は、

骨形成能
骨誘導能
骨伝導能

を併せ持つため、慢性骨折や癒合不全症例において非常に重要な役割を果たします。

 

骨癒合までは通常数か月単位の管理が必要となるため、今後も定期的に経過観察を行っていく予定です。

 

最後に

橈尺骨骨折は、特に小型犬において癒合不全やインプラントトラブルが起こりやすい骨折のひとつです。

特に慢性化した症例や再手術症例では、

強固な固定
骨折部の生物学的環境改善
適切な術後管理

が非常に重要になります。

当院では、症例ごとの状態に応じてプレート法・骨移植・創外固定などを組み合わせながら治療方針を検討しています。