犬の症例

トイプードル骨折の癒合不全

先日、トイプードル(約2kg)の骨折整復手術がありました。

放し飼いのワンちゃんが居なくなったことから交通事故がほぼ無くなったので、骨折では小型犬の前肢骨折が一番多いのではないでしょうか。当院ではこの手の骨折で来院されるワンちゃんが一番多いです。

この子の場合は骨が折れてからの経過が長く、3月半ばに骨折して最寄りの動物病院でとりあえずの応急処置としてギプス固定をしてもらったそうです。

その後、1ヶ月弱経過しギプスが皮膚に擦れて化膿し悪臭がしてきたのと、肢を着かないためギプス交換と足を治すための治療を希望され当院へ来院されました。

診察してみると、ギプスで固めて1ヶ月近く経過しても肢は着かないですし、レントゲン検査でみても骨折端がずれています。
このまま様子をみても骨がくっつかない(癒合不全を起こす)可能性があります。現状維持でいくか?治る可能性を高める為に手術をするか?飼主様とご相談した上で手術をすることになりました。

今回は「チタン製の特殊なロッキングプレートでの固定+海綿骨移植+PRP(多血小板血漿注入)」 を行いました。

ギプス固定の間は1ヶ月近く肢を使っていなかったので肢を使えるようになるか心配していましたが、無事肢を使い始めてくれています。

一般的に小型犬の前肢の骨折ではギプスのみでは癒合不全を起こす可能性が非常に高く、手術の難易度も高いタイプの骨折です。

折れてしまうと創外固定、プレート、髄内ピン、など外科的な介入が必要になります。くれぐれも落下事故には気を付けましょう。


↑手術前(ギプス固定だけでは骨折端がずれています)


↑手術後(2枚のチタンプレートで固定しています)