トカゲの症例

ヒョウモントカゲモドキの目の病気

先日来院されたトカゲモドキさんは眼に脱皮の皮が堆積してしまい、眼の症状が出ていたため、眼科用のピンセットで摘出しました。

 

↑眼の内側からピンセットで摘出された角質

 

さて、ヒョウモントカゲモドキによく見られる疾患の内の一つが脱皮不全症です。

脱皮不全とは脱皮を完全に行うことが出来ず、身体の一部に付着したままの状態になることを言い、特に、眼球、指先、尻尾の先に脱皮の皮が残ってしまうと、眼の疾患や、指先や尻尾先の壊死や脱落などの問題が引き起こされてしまいます。

 

脱皮不全になる原因は、湿度が低く乾燥している環境や水分不足、ウエットシェルターの未設置、外傷などの影響などが考えられます。

また、重度に状態が悪くなり栄養失調状態になると、脱皮に必要になる酵素やリンパ液の生成が出来なくなり、脱皮不全になってしまうこともあります。

 

治療の方法は、ヒョウモントカゲモドキをぬるま湯(30℃くらい)につけてから、綿棒などで古い皮を剥がすようにしていきます。特に指先、尻尾周り、眼の周りに脱皮不全が発生することが多いので注意が必要です。眼の内側に皮が残ってしまっている場

合は、動物病院にて処置をして貰った方が良いと思います(今回のように、眼を生理食塩水で洗浄し、眼科ピンセットで皮を摘出する)。

脱皮不全の予防には、ウエットシェルターを設置したり、ケージ内を定期的に霧吹きしたり、水苔などを設置したりすることが勧められます。

 

垂水オアシス動物病院

獣医師 井尻